『プライスアクショントレード入門』を読みました。
以前書いた「市場の秩序と無秩序についてです」の記事を読み返してみて、テクニカル分析をするときに値動きを線(曲線)としてだけ認識していることに気づきました。 この本を読んだら線の中の点も見たほうが良さそうに感じました。
トレンド足と同時線
トレーダーは、すべての足について、その足がトレンド足か非トレンド足(レンジ足)のどちらかだと考えるとよい。 後者はおかしな言葉で、その多くは同時線に似ているため、ここではすべての非トレンド足を同時線と呼ぶことにする。 もしローソク足の実体がないか小さければ同時線でブル派もベア派も支配していないため、1本でも本質的にトレーディングレンジなのである。
プライスアクショントレード入門 第1章 プライスアクション
今までダウ理論でトレンドを認識していました。 だからローソク足 1 本だけでトレンドを認識してしまうことは新しい視点でした。
トレンド足はトレードして、同時線はトレードしないのが基本になりそうでした。 トレンド足と同時線の組み合わせをパターン化して解説してくれていました。
ローソク足が陽線(小さくない)のときはブル派が支配していることになります。 日足の 1 本の陽線の中に 1 時間足の上向きの曲線があるイメージ。 ローソク足が陰線(小さくない)のときはベア派が支配していることになります。 日足の 1 本の陰線の中に 1 時間足の下向きの曲線があるイメージ。 そうじゃないときはブル派もベア派も支配していないことになります。 日足の 1 本の同時線の中に 1 時間足の上下に動いている曲線があるイメージ。
一方が支配しているときは秩序があるのでトレードするところです。 そうじゃないときは無秩序なのでトレードしないところです。 「市場の秩序と無秩序についてです」の記事で書いたことと矛盾しないので取り入れていけそうな気がしています。
バーブワイヤー
この項は本書のなかでも最も重要な情報が書いてあるため、注意深く読んでほしい。 そうすれば、トレードにおける損失の最大の原因のひとつを避ける助けになるだろう。 この重要なパターンは日中にその日のレンジの半ばにできることが多く、そのほとんどがEMAの近くにある。 それが狭いトレーディングレンジの一種である「バーブワイヤー」で、3本以上の足で構成され、その大部分が重なっていて少なくとも1本は実体が小さい足(同時線)が含まれている。 怪我をしたくなければ、バーブワイヤーには触らないほうがよい。
プライスアクショントレード入門 第5章 トレーディングレンジ
これは「市場の秩序と無秩序についてです」の記事の中の「無秩序」に近いような気がします。 買いも売りも入り混じったところだから、エントリーした方向に価格が伸びていく可能性は低い、期待値が低い、そのため、トレードを避けるべきなんじゃないかと考えています。 ローソク足の組み合わせをパターン化して、より具体的にトレードを避けるべきところを教えてくれていました。
大雑把ですけれども、(EMAの近く、その大部分が重なっていて、とかの曖昧な部分について)具体的な値を設定してヒストリカルデータからバーブワイヤーを探してみました。 Python を使って次のような関数を作りました。
def barbwire(df, periods=20, p1=0.005, p2=0.005, p3=0.05):
# そのほとんどがEMAの近くにある
ema = df['close'].ewm(span=periods).mean()
emahigh = ema * (1 + p1)
emalow = ema * (1 - p1)
s1 = (emalow.shift(1) <= df['close']) & (df['close'] <= emahigh.shift(1))
# その大部分が重なっていて
df1 = df.shift(1)
high = df['high'] / df1['high']
low = df['low'] / df1['low']
lower = 1 - p2
upper = 1 + p2
s2 = (lower <= low) & (low <= upper) & (lower <= high) & (high <= upper)
# 少なくとも1本は実体が小さい足(同時線)が含まれている
s3 = (df['open'] - df['close']).abs() <= p3
# (3本以上の足で構成され)
return s1 & (s2 & s2.shift(1) & s2.shift(2)) & (s3 | s3.shift(1) | s3.shift(2))
チャート上に探したバーブワイヤーを表示してみました。
ボラティリティを考慮していないため、ボラティリティが大きいところではバーブワイヤーが表示されにくくて、ボラティリティが小さいところではバーブワイヤーが表示されやすいものになってしまいました。
このチャートを作ったときの Jupyter Notebook のファイルを Gist にアップロードしておきました。
終わり
トレンドの波の中のトレンド足をトレードするイメージを持ってチャートを眺めてみようと思います。 同時線はトレードしないように気をつけようと思います。