市場の秩序と無秩序についてです

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『複雑で単純な世界』を読んで、秩序と無秩序について考えたことを書いてみました。

秩序と無秩序

本の中から秩序と無秩序という言葉が対比されてる文章を抜き出してみました。

この「整然とした秩序ある状態」は、日々の道路交通や市場に見られる「乱雑で無秩序な状態」から、これといった明白な理由がないのに出現する。

複雑で単純な世界 第2章 秩序ポケットの出現 P.43


強調しておきたいのは、出力時系列が、完全に規則的で秩序ある状態と完全にランダムな状態の中間になることである。

…略…

結論を言えば、完全な秩序をもつパターンと完全に無秩序なパターンとのあいだのどこかに、まさしく世界の普遍的なパターンのようなものが存在するということになる。 しかも、そうしたパターンを作りだしているのは、完璧なまでの一貫性も備えていなければ完全にランダムというわけでもない存在、つまりわれわれ人間に似た存在なのである。

複雑で単純な世界 第3章 カオスとフラクタルをどうとらえるか P.90


実際、規則正しくある状態と不規則で無秩序な状態の境界に位置することには利点があり、適応力を備えているという考えは、日々の暮らしのなかでは妥当性があるように思われる。

複雑で単純な世界 第3章 カオスとフラクタルをどうとらえるか P.103


これまで、複雑系は秩序ある整然とした状態と無秩序で乱雑な状態が混じりあった微妙な中間状態を表わしていることを理解した。

複雑で単純な世界 第5章 複雑性とネットワーク P.169


さらに、あらゆる複雑系と同様、金融市場も時には挙動を急激に変化させ、暴落のような「秩序正しい」挙動、あるいはパターンがいっさい認められない無秩序な挙動をとることができる。

複雑で単純な世界 第6章 金融市場の動向を予測する P.178


とはいえ、何がこの二つのケースのうちのどちらが生じるかを決めているのだろう。 金融市場の動きは、無秩序な形をとることもあれば秩序ある形をとることもある。 平均で見れば、こうした動きからはパラメーターaの値として、無秩序な動きを表わす〇.五と秩序ある動きを表わす一のあいだの数値が生じる。 しかしながら、どの時点でもトレーダーには情報がフィードバックされており、このフィードバックはそのときの値動きの趨勢をさらに強める動きをするか、あるいは弱める働きをする。 前者の場合、値動きの方向にはさらに一貫性が見られるようになる。 このとき通路は幅が狭くなり、明確な方向を示すようになる。 後者の場合はフィードバックが値動きの趨勢に逆らうように作用するので、市場は不確実で無秩序な状態になる。 通路は幅が広くなり、明確な方向をもたなくなりがちである。

複雑で単純な世界 第6章 金融市場の動向を予測する P.188

抜き出した文章をリストにしてみました。

  • 秩序
    • 整然とした秩序ある状態
    • 完全に規則的で秩序ある状態
    • 完全な秩序をもつパターン
    • 規則正しくある状態
    • 秩序ある整然とした状態
    • 暴落のような「秩序正しい」挙動
    • 値動きの方向にはさらに一貫性が見られる
  • 無秩序
    • 乱雑で無秩序な状態
    • 完全にランダムな状態
    • 完全に無秩序なパターン
    • 不規則で無秩序な状態
    • 無秩序で乱雑な状態
    • パターンがいっさい認められない無秩序な挙動
    • 市場は不確実で無秩序な状態になる

秩序の方は、「整然」「規則」「一貫性」のような単語が出てきます。 無秩序の方は、「乱雑」「ランダム」「不規則」「不確実」のような単語が出てきます。

「秩序」「整然」「規則」…って、日常でも使うことがあったので、ほとんどの文章は感覚的に理解することができました。 でも、そのまま感覚的に読んでいたら理解できないものもありました。 暴落のような「秩序正しい」挙動…って、暴落は「秩序正しい」んだ? なんとかショックのときとかって、整然としていないし、規則正しくないし、日常で使う「カオス」のようなイメージなんだけど?

チャート

整理した単語をもとにチャートを眺めてみました。 そして、 2 つだけキャプチャーしてみました。

秩序が感じられたのは次のチャートです。 ニュージーランドドル/米ドルの 15 分足です。

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無秩序が感じられたのは次のチャートです。 豪ドル/円の 15 分足です。

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無秩序が感じられた豪ドル/円のチャートも、支えられていそうな価格帯、抑えられていそうな価格帯があって、それが秩序に見えなくもない気もします…

でも、なんでそれぞれのチャートで秩序、無秩序を感じたのか考えてみました。 そして、それぞれのチャートに 1 期間の単純移動平均線を引いてみました。

まず、ニュージーランドドル/米ドルのチャートです。

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次に、豪ドル/円のチャートです。

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1 期間の単純移動平均線を引いてみたのは、終値だけを結んだラインチャートを見てみたかったからです。 素直にラインチャートを表示すればいいのですが、ローソク足と比較してみたかったのです。 インディケーターを実装しようかとも思っていたところ、単純移動平均線でできることに気がつきました。

実際に表示してみたところ、これじゃ違いがはっきりしないような気がしました。

なので、 5 期間の単純移動平均線にしてみました。

まず、ニュージーランドドル/米ドルのチャートです。

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次に、豪ドル/円のチャートです。

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違いがよりはっきりしてきたように感じました。

ニュージーランドドル/米ドルのチャートは、移動平均線があまり上下に動いていないように見えます。 豪ドル/円のチャートは、移動平均線が激しく上下に動いているように見えます。

それから、ニュージーランドドル/米ドルのチャートは、移動平均線に対してローソク足があまりはみ出ていないように見えます。 豪ドル/円のチャートは、移動平均線に対してローソク足がかなりはみ出ているように見えます。

秩序

チャートを見てから、どうしてそれらが秩序と感じたのか、無秩序と感じたのか、考えてみました。

一番秩序があって、一貫性があって、確実なのは直線で動いてくれることだと思っていたようでした。 最初からこう思ってチャートを見ていたわけではなくて、考えてみたら、そう思っていたことに気づきました。 だからその前提だと、無秩序で、一貫性がなくて、不確実というのは、この直線から外れている値動きと言えます。 そして、その直線はどういうものかをチャートに表現したくて移動平均線を追加したようでした。

移動平均線は後付けで終値から計算したものにすぎないですけれども、でもこの移動平均線から上にも下にもローソク足が飛び出ているように見えた豪ドル/円のチャートは、やっぱり無秩序に見えます。

あまりうまく言葉にできないですけれども、選択肢の多さのような気もします。 確実、不確実、で十分表現できているのかもしれないですけれども。 直線で動いていたら、価格が 110.1 から 110.2 になると、次は 110.3 になることがわかります。 選択肢は 1 です。 でも実際のチャートは直線では動いてくれません。 ニュージーランドドル/米ドルは、価格が 0.6745 にあって(それが直線上だと仮定して)、ローソク足が上下に(合計) 5 pips 飛び出ていたとします。 1 pips を選択肢の一つの単位とすると、 5 つの選択肢があったことになります。 それに対して豪ドル/円は、価格が 77.95 にあって(それが直線上だと仮定して)、ローソク足が上下に(合計) 10 pips 飛び出ていたとします。 すると、 10 の選択肢があったことになります。

だから、移動平均線は、短い期間(例えば 1 期間)を設定したとしても、より直線に近い方が秩序がある。 移動平均線に対するローソク足は、より飛び出ていない方が秩序がある。

このように、「整然」「規則」「一貫性」「乱雑」「ランダム」「不規則」「不確実」を見ていて、そこから「秩序」と「無秩序」を認識しているのかもしれないと思いました。 今のところは…。

暴落

上で、暴落はカオスのようなイメージなんだけど?と書きました。

これは市場参加者だけを見て、そうイメージしていたんだと気づきました。

信頼も崩れ、卸売業者はパニックに陥った。

…略…

至るところで苦悶の声が上がり、互いが隣人を責めるようになった。

狂気とバブル 第3章 チューリップバブル No.1730

パニックというのがカオスをイメージさせます。 そこから無秩序を連想させます。

なんとなく読んでしまうと対象をごっちゃにしてしまいます。 でも、市場そのものは無秩序ではないようです。

市場そのものをどう可視化するかというと、やっぱりチャートかなと思ってしまいますけれども。 暴落のときは選択肢が 1 つ(下落)になるからなんじゃないかと思います。 ボラティリティが大きくなって、値幅まで考慮すると選択肢が逆に増える、とも言えるかもしれないんですけれども。 そうじゃないとき(暴落ではないとき)は上昇もするし、下落もするし、それは「乱雑」で「ランダム」で「不規則」で「不確実」です。 でも暴落するときは「整然」としていて、「規則」正しくて、「一貫性」が見られる、ような下落になります。

だから、暴落は無秩序じゃなくて、秩序正しいと言えるんだと思いました。 今のところは…。


この本の中では暴落について次のように記載されています。

もっと一般的化して考えると、現実の金融市場で起きる暴落は、市場に作用する正反対の力--特に群集と反群集によって生じ、正反対の働きをする二つの力--に関して興味深い事実を教えてくれる。 この二つの力は、通常はほぼ釣り合っていて、文字どおりランダムに見える価格変動を生じさせる。 一方、暴落は二つの力の均衡が崩れ、一方向へ向かう秩序だった大規模な動きが生じている時期を示す格好の例である。

複雑で単純な世界 第6章 金融市場の動向を予測する


なんか、こんなことを考えていて、言葉遊びをしているような感じになりました。

「秩序」を理解するために「整然」を調べたりするんですけれども。

[ト・タル][文][形動タリ]秩序正しく整っているさま。「整然たる行列」「理路整然」

整然(せいぜん)の意味 - goo国語辞書

「秩序」に戻っていますし。

ちなみに、「秩序」は次の通りでした。

  1. 物事を行う場合の正しい順序・筋道。「秩序を立てて考える」
  2. その社会・集団などが、望ましい状態を保つための順序やきまり。「学校の秩序を乱す」

秩序(ちつじょ)の意味 - goo国語辞書

結構難しいです。 市場でいう秩序はどっちかな? どちらでもないと言えそうですし、無理やり当てはめようと思えばどちらでもあるとも言えそうな。

ただ、どちらであったとしても、「正しい」とか「望ましい」って、何をもってそう言うの?とも思います。 暴落って、「正しい」ですか?「望ましい」ですか? 投機(売り)をしている人、のような少ない人しか、暴落は「正しい」とか「望ましい」とは言えないんじゃないかと思ってしまいます。 それ以外の、投資(買い)をしている人、会社を経営している人、会社員として働いている人、それらのほとんどの人は暴落は「正しくない」「望ましくない」と言えるんじゃないかと思ってしまいます。 (ここでは株式の市場をイメージして書いています)

終わり

前回、『ウォール街の物理学者』を読んだ記事を書いて、モデルは道具であり、道具には限界があることを認識しました。 言語も同じだと感じました。

市場を言語で説明しようとするんですけれども、限界がありそうです。 一億人いて、一億人が同じように解釈できるような客観的な説明なんてできないでしょう。 だからいくら「秩序」と言っても主観的なものが少なからず入ってきそうです。

そういう前提の下で、トレードをしなきゃいけないんだと改めて認識しました。 誰かの手法で利益が上げられそうだから~とかいう甘い考えじゃ遅かれ早かれ退場する運命にありそうです。

自分なりに「市場とはどういうものか」を定義してみます。 そして「市場から利益を上げるためにはどうすればいいか」を考えてみます。

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