海外旅行しようと思って Wikipedia を見ていたら、シンガポールのページに次のような記載がありました。
外国為替市場の取引額で日本を上回り、世界3位に浮上するなど[37]、屈指の世界都市、金融センターになっている
外国為替の主要な市場は東京、ロンドン、ニューヨークだと思っていたので驚きました。
実際のところどんなデータからシンガポールが上がってきたのか調べてみました。
外国為替市場 世界での取引規模
Wikipedia の外国為替市場のページにわかりやすい表が記載されていました。
国別の 1 日当たり外国為替取引額(2016 年)は次のようになっているみたいです。
- イギリス(37.1%)
- アメリカ(19.4%)
- シンガポール(7.9%)
- 香港(6.7%)
- 日本(6.1%)
()の中は世界シェアです。
日本は香港にも抜かれて 5 位のようでした。
これのもとにしているデータについては次のように記載されていました。
国際決済銀行(BIS)は、2016年に1日当たりの外国為替の取引額の統計を公表している[1]。
もとにしているのは国際決済銀行のデータのようでした。
国際決済銀行(BIS)
国際決済銀行のページを探してみました。
データが Triennial Central Bank Survey of foreign exchange and OTC derivatives markets in 2016 のページにありました。
Foreign exchange turnover の Global summary の Excel のデータがシンプルで見やすかったです。
これを見ると 2001 年から 3 年ごとに記載してくれているようです。
わたしが外国為替の主要な市場について初めて知ったのが 2013 年の前半くらいでした。 だからまだ当時の最新である 2013 年のデータが反映されていると思えません。 そう思ってみてみると、やっぱり 2010 年は次の順番でした。
- United Kingdom(36.7%)
- United States(17.9%)
- Japan(6.2%)
- Singapore(5.3%)
- Hong Kong SAR(4.7%)
イギリス(ロンドン)、アメリカ(ニューヨーク)、日本(東京)が主要な市場だったようです。
そして 2013 年は次の順番でした。
- United Kingdom(40.8%)
- United States(18.9%)
- Singapore(5.7%)
- Japan(5.6%)
- Hong Kong SAR(4.1%)
2013 年の時点で日本はシンガポールに抜かれていたのですね。
ブレグジット
国別のシェアを見たときにイギリスが 1 位であることが少し不思議でした。
イギリスって、 2016 年 6 月欧州連合 (EU) からの離脱の是非を問う国民投票の影響で取引の場としても離れていってしまったんじゃないかと感じていたのですが、外国為替においてはまだ圧倒的に多いんですね。
そう思って実際のところどうなのか調べてみました。
首都ロンドンは、世界の外国為替市場の頂点に立ち、国際的な債券やファンドの取引が行われ、世界中に存在するどの金融ハブよりも多くの銀行を集めている。
それだけにブレグジットの衝撃に対する脆弱性も高い。ロンドンの取引所やトレーディングルームで行われる取引の約3分の1には、EU域内のクライアントが関与しているからだ。
こうした状況から、一部の政治家やエコノミストは、ブレグジット後、ロンドンが金融センターとしての優越性を失うだろうと予言している。これに対して離脱支持派は、ルールを自ら定めることができるようになることで、長期的には英国に恩恵をもたらすと主張している。
…略…
英国が国民投票によってEU離脱を支持してから約17カ月が経過した。ロイターの指標は減速の兆候を示しているものの、激変と呼べるほどの衰えは見られない。
これは 2017 年 11 月 28 日の記事です。
“減速の兆候を示しているものの、激変と呼べるほどの衰えは見られない” そうです。 確かに、外国為替の取引規模だけを見ても、 2013 年の 40.8% から 2016 年の 37.1% で減速の兆候のような印象を受けます。 でも、思ったより減っていなかった、とも思います。
同じ記事に次のようにも記載されていました。
2019年に欧州連合(EU)を離脱するという英国の決定は、この国で最大級の成功を収めた産業に打撃を与えるのだろうか──。
金融サービスセクターは、英国経済生産の約12%を占め、他のどの産業よりも多くの税金を納めている。英国がEU離脱(ブレグジット)後、4億4000万人規模となるEU市場に対し自由なアクセスを失うことで、このセクターは潜在的に大きな損失を被る可能性がある。
2019 年に実際に離脱するようなので、そうなったときに実際に自由なアクセスが失われて、影響も表面化してくるのかな?
29日付の調査によると、英国が欧州連合(EU)から離脱した後の英EU通商関係に対する先行き不透明感が、世界的な金融センターであるロンドンの最も深刻な脅威となっている。
…略…
パリやフランクフルト、ダブリン、ルクセンブルクは、ブレグジット後もEUへのアクセスを維持する必要がある金融サービス業者をロンドンから引き込もうと競い合っている。
これは 2018 年 1 月 29 日の記事です。
外国為替の取引規模もロンドンから EU 内の各国に分散されていくのかな?
終わり
初めて知ったことって、それが不変のような気がしていました。 少なくとも戦後あたりからそうなっていて、自分が死ぬまでとか、 2100 年あたりまではずっとそれが続くんじゃないのかって思っていました。 意識的にそう思っていたんじゃないんだけど、無意識的にそう思っていたような。
わたしだけかなあ?